(05) 多角的な視点持つのが大切 人をつないで共に育つ

コラム「女性管理職が語る」

(2019年2月 日経産業新聞コラム欄「女性管理職が語る」への寄稿)

今回は新人を含めた若いメンバーが育っていく上で、大切だと思っている「仕事の意味・目的を知ること」と「人と人のつながり、コミュニケーション」について振り返ってみました。

もうすぐ3月、2018年に入社された方は新人卒業が近づいています。「仕事には慣れてきたが、先輩に聞かないとまだまだ不安」と焦っていたり、「目の前のことをこなすことに精いっぱい。仕事のイメージが入社前と違い、ギャップを感じている」という声。マニュアルだけでは解決できないことや、モヤモヤとした思い、漠然とした疑問もあるでしょう。

その状況から突破し、自ら成長していくために、「虫の目、鳥の目、魚の目」の多角的な視点を持って「仕事の意味・目的を知ること」が大切です。そのためにも、職場の同僚、上司・先輩と積極的にコミュニケーションをとり、わからないことや迷うことは遠慮なく聞いて、相談してほしいと思います。

まずは「虫の目(近づいてさまざまな角度から物事を見ること)」で、自分がやっていること、やるべきことを洗い出します。時にそれを分解して、それぞれに「どうしてか」「何のためにやっているのか」と、その仕事の意味や目的を確認することからはじめます。

「いつも先輩に聞くことばかりで申し訳ない」と思うかもしれませんが、わからないことはそのままにせず、聞く勇気も必要で、先輩にお世話になった分は後輩に返せば良いのです。

次に「鳥の目(高い位置から見渡して全体を見回して見ること)」で、組織の中での自分の役割や、会社が目指していることを確認します。その中で自分の仕事が、何に、どのようにつながっているかが見えてくると思います。時々見直してみると良いのですが、実感しにくい場合はやはり、遠慮なく上司・先輩に相談してください。

そして、「魚の目(潮の流れや干潮満潮という流れを見失わないこと)」は、日ごろからアンテナを張り、自分の仕事と直結することはもちろん、関係ないと思われる情報でもキャッチすること、と捉えて良いと思います。

例えば、上司・先輩たちの仕事のやり方や考え方、周囲で起きていること、お客様の関心事などです。周囲の人たちや出来事に関心を持ち、怖がらずにコミュニケーションを積極的にとってみるのです。色々な接点や話題を通して、周りの状況や環境を知ることができます。視野が広がることで仕事の意味や目的への理解が進み、その先にあるつながりが見えてくることも多いのです。

また、新入社員は入社して間がないからこそ、仕事の進め方や内容、自社の商品に新鮮な疑問を持つことも多いのですが、それは職場にとっても大切な気づきの機会でもあります。世代や考え方の違う「人と人とのコミュニケーション」だからこそ、新たな気づきがあり、お互いの成長の機会となるのです。

改めて「仕事の意味・目的を知る」ためにも、職場でのフラットなコミュニケーションの場作りや、人と人、人と仕事、社会をつなげて、共に育つということを大切にしたいと思っています。