(2023年1月 日経産業新聞コラム欄「女性管理職が語る」への寄稿)
新たな年を迎えました。2023年をどんな年にするか、目標を立てる時期です。ただ、前に進むには、これまで通ってきた道を確かめることも大切です。まず昨年が自分にとってどんな年だったのか、振り返ってみたいと思います。
今から1年少し前、21年の暮れ、本コラムでも触れましたが、22年を表す漢字1文字に 「勇」を選びました。本当に新しいものを創っていくには勇気が必要だと考えたからです。22年に入り、若いメンバーと勇気を持って新しいことに挑戦することを心がけました。
22年は勇気について考える機会もありました。全役員が参加した、まじめな話を気楽にする 「マジきら会」でのことです。「自分にとってのD&I(ダイバーシティー&インクルージョン=多様性と包摂)」をテーマに社員と語り合いました。
当社ではD&Iを 「多様性のあらゆる面が受け容(い)れられ、育まれ、尊軍される職場をつくること」と定義づけています。お互いが尊重し合うということは、皆が感じること、考えることをお互いに発信し合うことです。その結果、お互いに気づきを得て、アイデアを生み出し、新しい価値を創出していくことができます。それが大切だと私は考えています。
しかしそうしたことが、時にはうまくいかない現実もあります。前述のマジきら会の中で、そういう動きを阻害するものとして話題となったのは、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)です。思い込みが、新たなことに挑む勇気を邪魔しているのです。
アンコンシャス・バイアスとは、例えば「仕事は好きだが、自分はリーダーには向かないから、リーダーは目指さない」といったことを指します。自分には雛しいのではないかと思った時に、例えばできない理由ばかりを集めてしまう確証バイアスの影響を受けている可能性があります。
また、お互いに発信し合えば、時に意見がぶつかったり、合わないこともありますが、空気を読んだり、他からどう思われるか、関係が悪くならないかを気にしたり、のみこんでしまったりすることがあるようです。これも同調性バイアスを自分にかけているわけです。本人にも、組織にとっても、気づきの機会を失わせる、とてももったいないことです。
D&Iの取り組みは、「自分自身の様々なアンコンシャス・バイアスに気づき、先入観なく仕事と向き合って個人も組織も成長していくこと」とも言えるのではないでしょうか。そのためにも少しでもいいので勇気を持とうという思いを大切にしたいと考えています。
私自身としては、D&Iを背景に、社内外の多くの方が新たな 一歩を踏み出してほしいと、本コラムを勇気を持って執筆してきました。少しは皆さんの役にたっていればうれしいと思いつつ年越しを迎えました。
そして、23年はうさぎ年!「躍」の年になればと考えています。うさぎはその性質や姿から 「家内安全」「飛躍」「向上」を象徴すると言われます。勢いよく飛び上がる、心躍る、わくわくする、仕事を通して皆がそんな感覚を持てるように取り組み、応援し続けたいと思います。