(13) 所属を越えて人を育てる

コラム「女性管理職が語る」

(2020年 月 日経産業新聞コラム欄「女性管理職が語る」への寄稿)

2018年に四国担当として高松市に常駐して以降、体日に四国各地を訪れるのが楽しみです。文化や食はもちろん、歴史や地理を知り、道のりを体感するとタイムスリップした感覚になることがあります。東京出身の私が知らない地域で暮らし働くことに対して抱いていた不安とは真逆の、うれしい一面でした。

その四国内の部店長と「縦横斜めでの人財育成」に取り組んでいます。直近ではウェブ会議システムによる2つの「オンライン・マジきら会」をしました。当社では真面目な話を気楽な雰囲気で語り合う会を「マジきら会」と称しています。そのオンライン版です。

1つは女性の中堅メンバーとリーダーの会で、所属を越え話す場として企画しました。日頃接することの少ない斜めの関係は想定以上に「まじめな話を気楽に」でき、楽しい場となりました。同じ四国内でも所属が違えばお互いをほとんど知らない状況もわかりました。

わずか1時間半ながら、キャリアステップ、ワークライフバランスと話題は広がり、多くの気付きを得るとともに、その後の交流も図られるようになったようです。

中堅メンバーは「仕事は好きだが、管理職になるのは不安がある」と言います。リーダー陣から「不安がないわけではなく、一つひとつ解決しながら取り組んでいる」という実体験を聞き「不安はなくならない、付き合っていくもの」と理解もできたようです。

先輩たちの気持ちを知らないことが、漠然とした不安につながっているように感じます。先輩たちとコミュニケーションの機会を持つことで、視野も考え方も広がっていくように思いました。

「ロールモデルがない」という不安の声も聞きますが、リーダー陣の話を聞くと、誰一人同じキャリアや考え方の人はいません。その意味ではロールモデルはいなくて当然ですし、むしろ「一人ひとりが違った輝きを持つことを目指すべきでは」とも思いました。

「勤務地限定で働く社員にとって幅広い社内人脈がないことが悩みの種」という不安の声も聞きますが、リーダー陣の話を聞くと、誰一人同じキャリアや考え方の人はいません。その意味ではロールモデルはいなくて当然ですし、むしろ「一人ひとりが違った輝きを持つことを目指すべきでは」とも思いました。

もう1つの会は、男性部店長と女性リーダーの「マジきら会」です。双方から「当初は緊張したが気づききも多く面白かった。またやりたい」との声が上がりました。

「勤務地限定で働く社具にとって幅広い社内人脈がないことが悩みの一つ」という声に対し、部店長から「そういう時は遠慮なく自分たちを使ってほしい。逆に転勤してきた自分たちは人脈を一から作るのに苦労しており、支援してほしい」というやり取りがあり、皆がはっとしました。

得手不得手は表裏一体で、強みを生かしあうことが、強いチームを作る上で大事なことです。多様性こそがチーム力になることを改めてことを改めて皆で共有できた気がします。

お互いの強み弱みをオープンにして、支援し合うのは頭ではわかっていてもなかなか難しいものです。それでも、「人財育成 (共に育つ)」というテーマを軸にエ夫をしながら一歩ずつ進めていきたいと考えています。

デジタルは、これまでいろんな意味で遠かった人同士をつなぐ有効なツールになることを実感しました。こうしたデジタルと人の力のベストミックスにより、チームワークが向上することに不思議な感慨を覚えました。