(22) やりたい仕事を深堀り

コラム「女性管理職が語る」

(2022年7月 日経産業新聞コラム欄「女性管理職が語る」への寄稿)

7月の猛暑の中で、千葉県外房の勝浦市が涼しいと話題になりました。実は母の実家がこの勝浦です。私にはいとこが二十数人おり、子供の頃は夏休み中、祖母の元で合宿状態でした。ささいなことでけんかにもなりますが、世代ごとにあうんの役割分担もあり、誰かがまとめ、いつの間にか仲直りしている。面白い経験だったと思います。

そして昨年末、いとこ6人でのシェアハウスが勝浦に完成しました。週末に思い思いに訪れては庭・畑仕事、小屋・窯作りなどで楽しんでいます。

皆、社会人となってからは時々会うぐらいでしたが、勝浦での夏休みの楽しさを話しているうちにいつか勝浦に住みたいという夢を共有。場所探しからイメージ作りと行動やアイデアを積み重ね、ついに実現しました。関係性は子供の頃と変わらないのですが、それぞれ違った経験を璽ね、なかなかのダイバーシティー(多様性)状況で驚きとともに発見があります。

さて、今回は 「やりたい仕事」を深掘りしたいと思います。会社のメンバーに「やりたい仕事」を聞くと、「これがやりたい仕事!」と明確に言える人、「やるべき仕事に追われてやりたい仕事を考えられていない」という人、など様々です。

聞いてうれしかったのは、メンバーのやりたい仕事は「楽でスマートな仕事」では決してなく、当社のパーパス(存在意義)である「お客様や地域社会の“いざ”をお守りする」がしっかりとベースになっていたことです。

一方で残念だったのはやりたい仕事をしているウェートはさほど高くないということです。「やりたいことをやっている時に、人はより力を発揮する」わけですし、もっとやりたい仕事をやってもらうことが大切です。

また「やるべき仕事」は受け身でネガティブな仕事と受け止められることが多いということにも気づきました。ところが、皆で議論していると、「今までやるべきことが多すぎてやりたいことができていないと思っていたが、仕事や業務を点でしか見られていなかったからだ」という発言もあり、なるほどと思いました。

やりたい仕事を中心に置き、そのためにやるべきことを書いていくと、やるべき仕事の意味が見えてくるのではないでしょうか。それらの点がつながり線、面となり、やるべき仕事がやりたい仕事になっていきそうです。

女性リーダーを見ると、多くがやりたい仕事として 「一人ひとりを生かしていくこと」を挙げています。社員がやりたいことができるように道筋を付け、支えていくことは大事な人材育成のステップだと思います。

若い社員もやりたいことを実現するには、苦手なこととも向き合い、苦労もあることは理解しています。失敗もして、そこから学ぶことも多いわけです。また、それぞれのやりたいことをオープンにしていくこと、他のメンバーのやりたいことも聞きながら、自分はどうかと考えてみる、応援し合う、そういう場も必要なのです。

皆の話に背中を押され私もやりたい仕事にもっとチャレンジしたいと考えています。あれこれと考えが錯綜 (さくそう)してきたら、涼しい勝浦へ行って、リフレッシュしたいと思います。